ドラマW 対岸の彼女
2006年 01月 16日
WOWOWのドラマです。
原作は毎度のことで読んでないくせに、どうしても見たかったドラマです。
原作を知らないから、公式サイトにあった「性格も立場も違う女性同士に友情は成立するのか?」という文章で、単に「大人の女の友情って難しい」的な内容かと思ってたんだけど、予想とはちょっと違ってました。
実はお互いに同じ大学・同じ学年だった二人の女性は、お互いの存在など知らぬまま卒業しそれぞれの生活を送っていた。
一人は専業主婦の小夜子(夏川結衣)。もう一人は会社を経営する葵(財前直見)。
葵の会社で小夜子が働くことになって、まず接点ができる。
人付き合いが下手で臆病な小夜子と、大雑把で開けっぴろげな葵。
おおらかな葵といることで、小夜子は心を開き二人の間に信頼関係もうまれていくんだけど、実はそんな明るい葵には暗い過去があるわけよ。
幼稚園からずっといじめられ、中学で学校へ行けなくなり、転校を繰り返していた葵(高校時代:石田未来)。
新しく転校した女子高でまるでずっと友だちだったかのように親しく話しかけてくれた魚子と書いてナナコ(多部未華子)と出会い、友情を深めていく。
今までいじめられてばかりの人生で辛いことの繰り返しだった葵から見れば、ナナコには嫌なことなんて何もなさそうだった。
しかし、それは違っていた。貧乏な暮らし、素行の悪そうな妹。学校でも急にハブかれるようになるナナコ。
葵に「もし(葵が)ハブかれたとしても、私だけは味方だし守ってあげる」と言ってくれたナナコがいじめられている。
自分に何ができるだろう?
夏休み、二人で民宿の住み込みのアルバイトをする。
それはきっと楽しい日々だっただろう。
嫌なことを考える間もないほど忙しい毎日。いじめているクラスメイトの顔を見ることもない。そして、隣りにはいつも葵。
そんな幸せな日々にも終わりが来る。
「帰りたくない」とナナコ。
あぁ、この「帰りたくない」が妙に胸を打った。
一人だって大丈夫とずっと強がっていたんだろう。
だけど、嫌な想いをする空間を離れて、大好きな葵と笑って過ごせた民宿での夏休み。
終わってしまったら、帰る場所はあの空間しかない。
辛い日々を一度離れてしまったことで、その辛さを再認識するしかなかった。
葵はそんなナナコを放っておけず、バイトが終わっても家には帰らずラブホテル住まいをしながら、どこへ行くのか何をするのかもわからぬ日々を送る。
しかし、バイト代には限りがあり・・・。
「ナナコと一緒なら何でも出来る気がする」と思っていた。
この先に何かがあると思っていた。
急に訪れる閉塞感。
結局どこにも行けそうにない気がして、二人は飛び降りてしまう。
二人とも助かるんだけど、週刊誌には面白可笑しく「レズビアン高校生」だの「異常性愛の果てに飛び降り心中」だの書かれてしまうのよ。
こういう過去を背負った葵が、大人になって小夜子に「葵さんと一緒だと何でも出来そうな気がする」と言われるんだもんね。
葵の過去など知らずに発した言葉だけど、葵にはずしんと来る一言。
思えばいじめられて暗かった自分に明るく接してくれたのはナナコだった。
今は自分があの時のナナコのような立場にいる。
今、ナナコがどこで何をしているかも知らないけど、あの時のナナコと自分の想いは絶対に消えない。
葵はどこかでずっとナナコを探していたんだろうか?
高校生の時の様に、いつまでもグダグダ言ってられる友だち。
葵はずっと探していたのかもしれない。
すぐ女の人を家に呼ぶ、旅行に誘う、それにあんな過去があるからあの人はレズ。
そんな噂だって本人の耳にも入ってたんだろう。
そんな周りのことなんてどうでもよかったんじゃないかな?
あの頃のナナコのように、葵が「一緒なら何でもできる」と思える友だちを心のどこかでずっと探していたとすれば、急ぎすぎて相手に踏み込みすぎるところがあったかもしれない。
小夜子にはずっと仲良くしてきた友だちに大学に入って「ねえ、まだ友だちできないの?」と言われた経験がある。
大人になると自然とはかってしまう相手との間合い。
学生の頃はある程度みんな背負ってるものが同じだったりするのに、大人になれば独身だとか既婚だとか、子供がいるとかいないとか、働いてるとかいないとか、いろんな立場の違いが出てくる。
そんな中で、昔みたいに何のしがらみもなく、グダグダ時間をつぶしてバイバイすれば当然明日に繋がってるような友だちって・・・。
葵が撮ってくれた運動会のビデオを見て、小夜子は葵が心から自分を信じてくれていたこと、必要としていてくれたことに気付くわけで、こじれてしまった関係を「もう一度やり直そう」と言ってくれたことで心地よく終わることができた。
エンディングの映像で、高校時代の葵とナナコ、大人になった葵と小夜子の四人が「とっておきの場所」で楽しそうにしている画に象徴されるように、葵と小夜子が繋がったことで過去の思い出も暗いだけの思い出ではなくなったんだと思う。
じわじわと迫り来るものを感じたドラマだった。
原作を読んでみたくなりました。
原作は毎度のことで読んでないくせに、どうしても見たかったドラマです。
原作を知らないから、公式サイトにあった「性格も立場も違う女性同士に友情は成立するのか?」という文章で、単に「大人の女の友情って難しい」的な内容かと思ってたんだけど、予想とはちょっと違ってました。
実はお互いに同じ大学・同じ学年だった二人の女性は、お互いの存在など知らぬまま卒業しそれぞれの生活を送っていた。
一人は専業主婦の小夜子(夏川結衣)。もう一人は会社を経営する葵(財前直見)。
葵の会社で小夜子が働くことになって、まず接点ができる。
人付き合いが下手で臆病な小夜子と、大雑把で開けっぴろげな葵。
おおらかな葵といることで、小夜子は心を開き二人の間に信頼関係もうまれていくんだけど、実はそんな明るい葵には暗い過去があるわけよ。
幼稚園からずっといじめられ、中学で学校へ行けなくなり、転校を繰り返していた葵(高校時代:石田未来)。
新しく転校した女子高でまるでずっと友だちだったかのように親しく話しかけてくれた魚子と書いてナナコ(多部未華子)と出会い、友情を深めていく。
今までいじめられてばかりの人生で辛いことの繰り返しだった葵から見れば、ナナコには嫌なことなんて何もなさそうだった。
しかし、それは違っていた。貧乏な暮らし、素行の悪そうな妹。学校でも急にハブかれるようになるナナコ。
葵に「もし(葵が)ハブかれたとしても、私だけは味方だし守ってあげる」と言ってくれたナナコがいじめられている。
自分に何ができるだろう?
夏休み、二人で民宿の住み込みのアルバイトをする。
それはきっと楽しい日々だっただろう。
嫌なことを考える間もないほど忙しい毎日。いじめているクラスメイトの顔を見ることもない。そして、隣りにはいつも葵。
そんな幸せな日々にも終わりが来る。
「帰りたくない」とナナコ。
あぁ、この「帰りたくない」が妙に胸を打った。
一人だって大丈夫とずっと強がっていたんだろう。
だけど、嫌な想いをする空間を離れて、大好きな葵と笑って過ごせた民宿での夏休み。
終わってしまったら、帰る場所はあの空間しかない。
辛い日々を一度離れてしまったことで、その辛さを再認識するしかなかった。
葵はそんなナナコを放っておけず、バイトが終わっても家には帰らずラブホテル住まいをしながら、どこへ行くのか何をするのかもわからぬ日々を送る。
しかし、バイト代には限りがあり・・・。
「ナナコと一緒なら何でも出来る気がする」と思っていた。
この先に何かがあると思っていた。
急に訪れる閉塞感。
結局どこにも行けそうにない気がして、二人は飛び降りてしまう。
二人とも助かるんだけど、週刊誌には面白可笑しく「レズビアン高校生」だの「異常性愛の果てに飛び降り心中」だの書かれてしまうのよ。
こういう過去を背負った葵が、大人になって小夜子に「葵さんと一緒だと何でも出来そうな気がする」と言われるんだもんね。
葵の過去など知らずに発した言葉だけど、葵にはずしんと来る一言。
思えばいじめられて暗かった自分に明るく接してくれたのはナナコだった。
今は自分があの時のナナコのような立場にいる。
今、ナナコがどこで何をしているかも知らないけど、あの時のナナコと自分の想いは絶対に消えない。
葵はどこかでずっとナナコを探していたんだろうか?
高校生の時の様に、いつまでもグダグダ言ってられる友だち。
葵はずっと探していたのかもしれない。
すぐ女の人を家に呼ぶ、旅行に誘う、それにあんな過去があるからあの人はレズ。
そんな噂だって本人の耳にも入ってたんだろう。
そんな周りのことなんてどうでもよかったんじゃないかな?
あの頃のナナコのように、葵が「一緒なら何でもできる」と思える友だちを心のどこかでずっと探していたとすれば、急ぎすぎて相手に踏み込みすぎるところがあったかもしれない。
小夜子にはずっと仲良くしてきた友だちに大学に入って「ねえ、まだ友だちできないの?」と言われた経験がある。
大人になると自然とはかってしまう相手との間合い。
学生の頃はある程度みんな背負ってるものが同じだったりするのに、大人になれば独身だとか既婚だとか、子供がいるとかいないとか、働いてるとかいないとか、いろんな立場の違いが出てくる。
そんな中で、昔みたいに何のしがらみもなく、グダグダ時間をつぶしてバイバイすれば当然明日に繋がってるような友だちって・・・。
葵が撮ってくれた運動会のビデオを見て、小夜子は葵が心から自分を信じてくれていたこと、必要としていてくれたことに気付くわけで、こじれてしまった関係を「もう一度やり直そう」と言ってくれたことで心地よく終わることができた。
エンディングの映像で、高校時代の葵とナナコ、大人になった葵と小夜子の四人が「とっておきの場所」で楽しそうにしている画に象徴されるように、葵と小夜子が繋がったことで過去の思い出も暗いだけの思い出ではなくなったんだと思う。
じわじわと迫り来るものを感じたドラマだった。
原作を読んでみたくなりました。
by cafe-nyoropon | 2006-01-16 15:59 | SPドラマなど